思春期をうまく乗り越える その2(校長だよりNo45)

<前号と併せて読んでいただけると幸いです>

 

思春期というのは,心の問題として明確な4つの特徴をもちます。

 

第1は,今まですばらしいと思っていた価値観がそうでないという価値観に変わります。

第2は,夢とか憧れに対して強烈に望むようになります。

第3は,本当の友達が欲しくなります。

第4は,自分を受け入れてくれる人を欲するようになります。

 

*この4つ全部もっていて思春期なのです。どの子にも思春期は必ずやってきます。

子供にとってとても大切なこの時期,うまく乗り越えさせることのできる大人でありたいものです。

ところで,子どもの成長にとって

「いいところを伸ばす」「欠点を直す」,どちらが大事なのでしょうか?

 

船井幸雄氏(船井総合研究所会長)は次のように言っています。

 

どのような人でも会社でも,自他ともに認める長所が必ずあります。長所とは自信のあることでしょう。上手にできることです。得意な分野です。ついている分野です。効率の良い分野だといったらよいでしょう。こういう長所を意識的に,ぐっと伸ばすのが長所伸展法なのです。

ついているものと付きあうのですから,一挙に「つき」がつき,運が良くなります。上手に生きられるようになりますし,経営も上手にできます。試してみてください。おもしろいほど効果があがります。

ただ,ここで注意しておきます。だれもがよくやって失敗するのが短所伸展法と同様,短所補正の試みです。 『船井幸雄の人間の研究』船井幸雄著 1992年(PHP研究所)

 

また,向山洋一氏(民間教育団体TOSS代表)は次のように言っています。

 

子供を伸ばす2つの方法,つまり「良いところを伸ばす」「悪いところを直す」のどちらの方法がいいのだろうか。

なかには,両方必要といわれる方もいよう。

むろん,「よくないところ」を直していくほかないし,「よいところ」を伸ばすことにこしたことはない。両方必要だ。

ただ,「教育の方針」として,どうするかといえば,どちらの方針を1つとるべきなのである。そして,結論は決まっている。

片方の方針が正しくて,片方の方針はまちがっているのである。

次のやり方の,どちらが正しいく,どちらがまちがっているのだろうか。

 1,良いところを伸ばす。

 2,欠点を直す。

これは,「良いところを伸ばす」ことが正しいのだ。

人間とは,不思議なもので,「良いところ」を認められ,ほめられると,更に努力する。

自分にも心地よいものなのだから,「努力する」などと思わなくても努力してしまう。

良いところはほめられるとどんどん伸びていくのである。

そして「良いところが伸びた結果」として,それまでの「欠点」も,少しずつなくなっていく。

 

西澤潤一氏(東北大学総長)は次のように言っています。

 

ノーベル賞を受けた人たちに共通していることは,自然現象の美しさや,不思議さに心奪われ,他のことを考えたりやったりする暇もなく,夢中になったということは,誰についても言えることです。

(中略)

やはり,好きなことに打ち込んでいくということが,どの受賞者の先生方の少年時代からも共通している言葉だと思います。

 

『好きなことをやれ』少年ジャンプ編集部 1994年(集英社)