思いあがり(校長だより No32)

教室で落ちつかない子がいる。

あちらこちらに,ちょっかいを出す子がいる。

「学習以前の問題だ。学習態度ができてない。」と多くの教師は考える。

そこで厳しくしつけをする。

おこることもあるし,怒鳴ることもある。

 

*古い教育書を取り出して読み返していたら,次のような一節がありました。

 

教室で落ちつかない子がいる。

あちらこちらに,ちょっかいを出す子がいる。

「学習以前の問題だ。学習態度ができてない。」と多くの教師は考える。

そこで厳しくしつけをする。

おこることもあるし,怒鳴ることもある。

 

「学習以前の問題だ。学習態度ができてない。」

と考えるのは,教師の思いあがりである。

思い上がりで悪ければ,錯覚である。

「教室で落ちつかない子」がいるのは,ほとんどの場合,教師の技量の未熟さのためである。

教師の技量の未熟さ・・・・それは,はっきりとしていて「授業がつまらない」「授業が知性的でない」ということである。

子供たちが知的興奮をおぼえるような授業をすることができれば,教室は落ち着きを見せるようになる。

 

*少し前になりますが,この学校での教え子が校長室を訪ねてきてくれました。

明朗快活,スポーツ万能,優秀な卒業生です。

就職については,企業の内定もいただいていたというのですが,双葉中学校での教育実習を経て,教師の道を目指すことにしたという報告を兼ねての訪問でした。

自分の人生を転換するほどの経験を教育実習のわずか数週間でしたということです。

別れ際に,教師にとって大切な素養とは何でしょうか・・・と聞かれました。

気取った言い方になりますが,概ね次のような話をしました。

「謙虚であること,自分の教育の結果に対する限りない疑いを持つこと」

 

*さて,卒業生に対しては随分格好つけたことを言いましたが,

教育書に書かれていたような「教師の未熟さ」に,

私は目をそらしたりはしてないだろうか。

思いあがってはいないだろうか。

そもそも,そうした感性を持っているのだろうか。

卒業生に語ったように「謙虚」であるだろうか。

「子供は教師を選ぶことができない」という事実を重く受け止められる教師でありたい。