校長室活用法(校長だよりNo32)

*小学校時代,田んぼでいたずらをしたことがありました。翌日職員室にてK教頭先生に,それはもうこっぴどく叱られたことを今でもよく覚えています。K教頭先生の語り口はとても優しいのですが,場所が職員室,大人の男の人の雰囲気というものを感じたのかその迫力に圧倒されたものでした。

子供ながらに「職員室」「校長室」は敷居が高い,ちょっと怖いところ,というイメージがすっかりできあがっていたことかと思います,

 

*校長職についた今,職員には「子供の指導に関して校長室を上手に活用してください」というお願いをしています。

「校長室? 子供の指導?」といえばすぐに結びつきそうなのが「校長が担任に加えてだめ押しで叱る」という行為です。校長があらためてお灸をすえるという行為です。

でも,ここで言うところの「上手な活用」とは全く逆です。

普段担任が指導に手のかかるような子を敢えて連れてきて「校長室にて校長の前で褒める」という行為です。

しかも他愛の無いようなことで良いと伝えています。

 

*例えば,こんな感じです。

普段,掃除をさぼってばかりでなかなか指導が入らない子が今日に限って雑巾がけを友達と行えた時。

「校長先生,聞いてください。○○さん,今日の掃除,雑巾がけでみんなが気がつかないようなところまで綺麗に拭いていたんです。あまりにも嬉しくて,校長先生に報告したくなって連れてきました。」

「そうですか,校長先生は子供の頃掃除はとにかくどうやってサボろうかとばかり思っていたけれど・・○○さんは雑巾がけのプロですね,先生是非クラスのみんなの前でも紹介してあげてください」

この例は,低学年向け?かもしれませんが高学年なら高学年なりに褒め言葉のシャワーを浴びせることができると思います。

もちろんこれを機に掃除に取り組む姿勢ががらっと変わるとは思いませんが,折に触れた「他人からの承認」は良い刺激だと思います。

 

*こんな私でも「校長」という冠をいただいているので子供からはある種の権威の象徴と見られます。

そんな「権威ある者に褒められた」という事実も大きいのでしょうが,

それ以上に「担任の先生が校長先生に自分の良いところを伝えてくれた」

という事実が大切だと思っています。

 

*最も,職員にとって「敷居の高い校長室」になってはいけませんので,その点は私の修行です。