友情というのは,まるで猫みたいだ。
手に入れたいと追いかけまわすと,するりと逃げていく。
忘れていると,いつの間にかほっこり膝の上に座っていたりする。
*子供たちの学校生活の中で大きなウエイトを示す「友達関係」。
その友達関係によって「学校が楽しい」とか「楽しくない」となることは決して珍しいことではありません。友達は自分のことをどう思っているのかな,嫌われていないかなあ,子供たちの中にはそうしたことが気になって,気になって仕方がないというタイプの子がいます。でも,その気持ちよく分かります。
*ところでこの手の話は,どちらかというと女子に多いのですが,友達の中での自分のポジション(位置)をいつも確かめておかないと落ち着かないというのと同じ心理がはたらいているのかもしれません。
「何をして遊ぶか」が気になるのが男の子で,「誰と遊ぶか」を気にするのが女の子,これはどこの学校でも見られる光景だと思います。
*かつて子供たちに「悩んでいることや困っていること」がないかについてアンケートを採ったことがありました。
アンケートには「困ったことがあったときに誰に相談しますか」という設問があったのですが,子供たちの回答で気になることが2つありました。
*1つ目は,「誰にもいわない」という回答がその時には,9人に1人の割合であったということです。
これは単に我慢強いなどということだけでは片づけられない問題をはらんでいるような気がします。
*2つ目は,相談相手として「親」よりも「友達」を選んでいる子が多かったということです。
アンケートでは「親,友達,先生などから複数選んで良い」としてあったのですが「友達」しか選ばないという子も少なくはありませんでした。
*私たち教師も子を持つ一人の親としても,子供と向き合っていく難しさは分かっているつもりですが,何か大事に至ったときに「親だけが知らなかった」というのではやるせないことでしょう。
学校というのは,とかく敷居が高いと思われがちかもしれませんが,気になることはいつでも学校に相談をしてください。一義的な相談窓口は担任となりますが,学年主任,管理職,以前の担任,養護教諭・・・どこからアプローチされても結構です。
*映画評論家の故・淀川長治氏は「今までに嫌いな人に会ったことはない。」と話されています。
相手が自分のことをどう思おうとも,自分は相手のことを好意的に思う習慣が身に付いているからでしょう。相手の気持ちを推し量る前に「自分は,相手のことをどう思っているのかが」がどうやら大切なようです。