テストでは測れない力(校長だよりNo44)

3学期,1年間をしめくくる学期を子供たちは過ごしています。

各教室ともに学習の成果を測るため,いわゆるテストの回数も多くなります。

さて,人間の能力,実力には「テストによって測ることが出来るもの」と,「テストによって測ることが出来ないもの」があります。

どちらが大切か,と言えば両方とも大切だと思えます。

しかし,「どちらか一つだけ」というなら「テストによって測ることが出来ないもの」を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

それは「テスト」が悪くても「テストによって測ることの出来ない力」を持った子ならいつかは克服をすることが可能だからです。

小学生のころテストの点数が悪くても,あとになって伸びていったという子はいくらでもいます。お家の方も,小学生の同級生を思い起こした時に「思い当たる方」がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 

*「テストによって測ることの出来ない力」を持っている子なら,多少「ワンパク」でも大丈夫だと思っています。それよりも逆の場合が心配です。

つまり「テストの点数がいい子」でありながら「テストによって測ることの出来ない力」が不足している子が問題なのです。「テストの良さ」によってはカバーしきれないものがあるからです。

「テストだけが良くて,ほかに何も出来ない人間」の存在が企業などで問題になっていますが,まさにそれかもしれません。

 

*では「テストによって測ることの出来ない力」とは何でしょう。

それは体験することによって身についていく能力です。たとえば目的を達成するまで工夫するという力です。いろんな人の中では我慢しなければならないこともあるという体験です。

自分のやろうとしていたことが達成出来たときの喜びです。

あるいは,思うようにならなかったときの悔しさです。このような力は「テスト」だけでは得られないのです。一つ一つの体験の中で身につけていくものです。

 

*生活体験を豊かにするにはちょっとしたコツがあります。

例えば,お使いをさせる場合にも,ただ「○○を買ってきて」と頼むのではなく「一番安い所で」とか「新鮮なものをお願い」など一つの課題を与えると良いと言われています。

あるいは「二つの店を回って調べてから買ってきて」と頼むのもいいでしょう。

つまりは子供たちの知的好奇心をちょっとくすぐってやるようなスパイスがあると良いようです。

1人でお使いなんて,今の世の中危険でさせられないかもしれませんが,そのエッセンスを学びたいものです。