跳ぼう 跳べる(校長だよりNo30)

どうやら人生にはハードルがあるようです。それも高いハードルもあれば,低いハードルもあるようです。わたしにとって高いハードルは,16歳・18歳・20歳・21歳・24歳・26歳・34歳と今までに7回あったようです。そして今また高いハードルの前面に立っているような気がしてなりません。

 ところで16歳には16歳用のハードルが用意されています。30歳には30歳の,50歳には50歳用のハードルということです。私の場合も,21歳の時には21歳用のハードルが用意されていました。時期を違えて33歳のハードルは,その時には来ないのです。『逢うべき人には必ず逢える。しかも,一瞬たりとも早すぎることなく,遅すぎることもなく-』という言葉がありますが,まさにそれと同様に,その歳のその人の能力や馬力にキチッと合ったハードルの高さが用意されているようです。

 さて,人間はサイコロのような立方体の魂をもって生まれてくるようです。そして,高いハードルから逃げることなく見事に跳び越えると,大きな彫刻刀でグイッと深く削られていきます。例えば,今日は体がだるいけど,でも頑張ろうというような場合,低いハードルなのでしょうが,小さな彫刻刀で細く削られていきます。

 そして,この人生大学を卒業するとき,つまり最期を迎えたとき,常にハードルを乗り越えてきた人はみごとに彫刻刀で削られた『地球儀』のような,まん丸の魂になって召されていくのだろうと思います。

 跳ぼう,跳べる。ハードルは跳躍可能な高さでやって来ます。

*双葉東小での教諭時代で管理職になることを意識し始めた頃,尊敬する教頭先生に

「管理職を目指して勉強しようと思っていますが,どんなことを心がけたら良いのでしょう。」と聞いたことがありました。

管理職選考には,法規や論文が課されるので,法規を勉強する際のコツや論文対策のノウハウなど教えてもらえればと思っていました。例えば,〇〇社が出版している対策本がいいよとか,論文書きだしのポイントは・・・・などといったアドバイスです。

ところがその教頭先生から言われたことは「ゆれない教育信条を持つこと」でした。その人間の芯となるものをしっかりさせなさいということです。そして,もう一つ教えてくれたのは「誰かに仕事を頼まれたらすべて気持ちよく受けるといいよ」というものでした。それは,自分に見合ったハードルが来るからきちんと跳び越しなさいということを教えてくれるようでもありました。

*小学生でいうと7歳には7歳のハードルが,12歳には12歳のハードルが用意されているのかもしれません。そのハードルが跳躍可能であることを諭し,跳び越えるための勇気を出すためそっと背中を押してあげるのが大人の役目であるような気がします。